シャコンヌ (Chaconne)とは?
「シャコンヌ (Chaconne)」はバロック時代に確立した
反復する和声進行(または低音ライン)を土台に、上声部が変奏を重ねていく舞曲系の変奏形式
…を指す用語です。
1. 語源と背景
- 17世紀初頭のスペイン語 chacona(陽気な踊り)がフランス経由でイタリアに伝わり、ゆったりした 3拍子 の変奏舞曲として定着。
- 似た形式に パッサカリア (Passacaglia) がありますが、実際には歴史的にほぼ同義で使われることも多く、区別は厳密ではありません。
2. 形式的特徴
- 定型ベース(バス定旋律)
- 4〜8小節程度の低音進行をループさせる。
- 変奏の連鎖
- 上声部(メロディ)が回を追うごとに技巧・表情を発展。
- しばしば短調 → 長調 → 短調 といった劇的な転調でコントラストをつける。
3. 「曲名としてのシャコンヌ」
- 18世紀以降、作曲家が 「この作品はシャコンヌ形式ですよ」 と示すため、作品タイトルそのものを Chaconne と呼ぶ慣習が生まれました。
- バッハ《無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番》第5曲 “Chaconne”
- ヴィターリ《シャコンヌ ト短調(帰属)》
- ブラームス《交響曲第4番》第4楽章(通称は“パッサカリア”だが技法はほぼ同じ)
- つまり単語としては「形式」だが、作品タイトルに転用されることが普通というわけです。
4. まとめ
- 形式名:反復低音+変奏という構造を持つ舞曲的変奏曲を示す総称。
- 曲名:その形式で書かれた独立作品や楽章に対するラベル。
- したがって、「シャコンヌ = 変奏形式」でありつつ、「◯◯の《シャコンヌ》」と言えば “その形式で書かれた特定の曲” を指す——両方の用法が共存しています。
これで「作品タイトルとしてのシャコンヌ」と「音楽形式としてのシャコンヌ」の関係がクリアになるかと思います!
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