チェロ

チェロは弦楽四重奏やオーケストラの中低音を担当し、人間の声域に近い温かい響きで旋律から伴奏まで幅広くこなす“歌う低音”です。

4本の弦（C–G–D–A）を持ち、弓奏の深いレガートやピチカート、スル・ポンティチェロなど多彩な奏法で陰影豊かな表現を生み出します。

楽器構造はスプルース表板とメイプル裏板・側板、長いエンドピンで床に立てて演奏し、ソロでも室内楽でも豊かな残響を活かします。

代表的レパートリーにはバッハ《無伴奏組曲》、ドヴォルザークやエルガーの協奏曲、室内楽ではブラームスのピアノ三重奏曲などが挙げられます。

20世紀以降はカザルス、ロストロポーヴィチ、ヨーヨー・マら名手の登場により、チェロは深い叙情とダイナミックさを併せ持つ主役楽器として地位を確立しました。